高圧ケーブルの耐圧試験の仕事があるので、事前に資料を確認すると、CVTケーブルではなくFPTケーブルでした。
FPTケーブル?
CVTではなく?
わからなかったのでAIに聞いてみました。

fptケーブルとは

FPTケーブルとは、火災時にも一定時間機能を維持できる高圧の耐火ケーブル(トリプレックス型などの高圧耐火電線)のことです。 [1, 2, 3]
主な特徴と用途
- 高い耐火性能: 火災時の熱(30分間で840℃など)に耐え、消防設備や非常電源回路へ確実に電気を供給します。
- 主な使用場所: 屋内消火栓設備やスプリンクラー設備といった、消防用・防災用の非常電源回路(6600V高圧受電設備など)に用いられます。
- 環境配慮型: 近年は燃焼時に有害なハロゲンガスや煙が発生しないノンハロゲン仕様(NH-FPTなど)が主流です。
- 詳細はフジクラ・ダイヤケーブルやSFCC株式会社の製品カタログも参考になります。 [1, 2, 3, 4]
もし特定のサイズやメーカー、配線工事に関する詳細をお探しの場合は、具体的な知りたい内容をお知らせください。
[1] https://www.fujikura-dia.co.jp

内部半導電層がないのか

その通りです。FPTケーブル(高圧耐火ケーブル)には、一般的な高圧CVケーブルにあるような「内部半導電層」がありません。 [1, 2]
その代わりに、導体(銅線)のすぐ外側に「耐火層(ガラスマイカテープなど)」が設けられているのが大きな構造的特徴です。 [1, 2, 3]
なぜ内部半導電層がないのか?
通常、高圧ケーブルでは電界の集中を和らげるために内部半導電層を施します。しかし、FPTケーブルは火災時にも電気を流し続ける(耐火性能を維持する)ことが最優先任務です。 [4, 5, 6]
そのため、導体の上に直接、熱に強い「耐火層」を巻き付ける構造をとっています。結果として、以下のような層の並びになります。 [1, 3]
- 導体(軟銅)
- 耐火層(マイカテープなど) ← 内部半導電層の代わり
- 絶縁体(架橋ポリエチレン)
- 外部半導電層(※外部にはあります)
- 遮蔽層(銅テープ)
- シース(外皮) [1, 3]
このように、内部半導電層はないものの、外部半導電層は通常通り存在しているという点もポイントです。 [3]
この構造により、端末処理(端部の剥ぎ取り作業など)の仕方が一般のCVケーブルとは少し異なります。もし施工上の注意点や端末処理の方法について気になることがあれば、お気軽にお尋ねください。
[3] https://www.fujikura-dia.co.jp
[4] https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

マイカテープは半導電体なのか

いいえ、マイカテープは半導電体ではなく、極めて高い電気抵抗を持つ「絶縁体(不導体)」です。さらに、非常に優れた「耐火・耐熱性」を併せ持っています。 [1]
前回の説明で「内部半導電層の代わり(に配置されている)」と表現したため紛らわしかったかもしれませんが、機能的な役割が代わりというわけではなく、構造上の配置として「導体のすぐ外側」にあるという意味になります。
マイカテープ(雲母)の性質
- 電気を一切通さない: マイカ(雲母)は電気を非常に通しにくい性質(高い絶縁耐力・高抵抗率)を持っています。
- 熱に圧倒的に強い: 1,000℃を超えるような高温になっても燃えず、溶けず、絶縁性能を失いません。そのため、火災で周りの架橋ポリエチレン(絶縁体)が焼け落ちてしまっても、マイカテープが最後の砦として導体同士のショート(短絡)を防ぎます。 [1, 2]
構造の整理
FPTケーブルの設計思想は「電界緩和(半導電層)」よりも「火災時の回路維持(耐火層)」を最優先しています。
- 一般のCVケーブル:
導体➔内部半導電層(電界を滑らかにする)➔絶縁体 - FPTケーブル:
導体➔マイカテープ(電気を通さない超耐火層)➔絶縁体[3, 4]
つまり、本来なら内部半導電層を入れたい位置ですが、耐火性能を確保するために、そのスペースに強力な絶縁・耐火層であるマイカテープを直接巻き付けているという設計になっています。 [4]
マイカテープが「絶縁体」であると分かった上で、高圧ならではの電気的な影響(電界集中など)や、なぜ外部には半導電層があるのかなど、さらに深く気になる点はありますか?
[2] https://www.greaterwire.com

電界集中への対策はどうなっている

FPTケーブル(高圧耐火ケーブル)に内部半導電層がないことで懸念される導体表面の「電界集中」に対しては、マイカテープ自体の物理的・電気的特性と、絶縁体の厚み(設計マージン)、そして「外部半導電層」の存在という3つの要素で対策がなされています。 [1, 2]
一般的な高圧CVケーブルに比べると電界の均一性はやや劣るものの、実用上問題がないよう以下のアプローチで設計されています。 [1]
1. マイカ(雲母)の高い絶縁耐力
導体のヨリ線の凹凸によって発生する電界集中(局所的に高電圧の負荷がかかる現象)に対し、導体に直接巻き付けられているマイカテープが圧倒的な絶縁耐力(電気の通しにくさ)でねじ伏せる構造になっています。
電界が集中したとしても、マイカテープの持つ電気的強度がそれを上回るため、そこから絶縁破壊を起こすのを防いでいます。
2. 絶縁体(架橋ポリエチレン)による設計マージン
内部半導電層がない分の電界の乱れを想定し、FPTケーブルは一般の高圧CVケーブルよりも絶縁体層に十分な厚みや性能的なマージンを持たせた設計になっています。
電界集中による負荷を、厚みのある絶縁体全体でしっかりと受け止めることで、ケーブル全体の電気的寿命や安全性を担保しています。 [1, 3]
3. 「外部半導電層」による電界の等電位化
導体側(内部)には半導電層がありませんが、絶縁体の外側(遮蔽銅テープとの間)にはしっかりと外部半導電層が設けられています。
これにより、以下の効果を得ています。 [1]
- 絶縁体の外周部分の電位を均一(等電位)に保つ
- 外側から内側(導体)に向かう電気力線の方向を放射状(均一)に整える [4, 5]
内側での多少の電界の乱れは、外側の半導電層が綺麗な円筒状の電界シールドを形成することで、ケーブル全体の電界の歪みを最小限に抑え込んでいます。 [1]
まとめると
FPTケーブルは、「半導電層で電界を滑らかにする」というアプローチではなく、「電界が集中してもビクともしない強力な耐火・絶縁層(マイカ)を配置し、十分な厚みでカバーする」という力強い設計思想で電界集中をクリアしています。 [1, 3]
そのため、平常時の電気的安定性を最優先する一般のCVケーブルとは異なり、「火災時にも絶対に電気を止めない」という目的のために最適化された特殊なバランスの構造になっています。 [6]
この内部半導電層がないという構造特性は、電気管理の現場で行われる高圧受電設備の定期点検(直流漏れ電流試験など)や、端末処理のやり方にも影響を与えます。もしそれらの実務的なポイントについて詳しくお知りになりたい場合は、続けてお尋ねください。
[1] https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

押し出しじゃなくてテープ巻き?

はい、その通りです。FPTケーブルの耐火層(マイカ層)は、押し出し成形ではなく、導体の上にマイカテープを何重にも巻き付ける「テープ巻き(重ね巻き)」という工法で作られています。
押し出し成型ではなくテープ巻きが採用されているのには、製造上および機能上の明確な理由があります。
なぜ「テープ巻き」なのか?
- 材料(雲母)の特性上、押し出しができない
マイカ(雲母)は鉱物(石の一種)を細かく砕いてシート状に加工したものです。ポリエチレンやビニールのように熱でドロドロに溶かして「押し出す」という成形が物理的にできません。そのため、テープ状にしたものを巻き付けるしかありません。 - 隙間のない「積層構造」で火を遮断する
マイカテープを一定の幅で半分ずつ重ねながら(半幅重ね巻きなど)複数回巻き付けることで、隙間のない強固な耐火壁を作ります。火災で外側のプラスチック(絶縁体)が溶けても、この巻き付けられたマイカ層が崩れずに導体を保護し続けます。
FPTケーブルの製造工程(イメージ)
ケーブルができるまでの流れを見ると、工法が組み合わされているのが分かります。
- 【テープ巻き】:導体(銅線)に、マイカテープを巻き付ける。
- 【押し出し】:その上から、架橋ポリエチレン(絶縁体)と外部半導電層を同時に押し出し成形する。
- 【金属遮蔽】:銅テープなどを巻き付ける。
- 【押し出し】:一番外側のシース(外皮)を押し出し成形する。
つまり、内側の耐火層だけが「テープ巻き」で、その外側の絶縁体などは一般的なケーブルと同様に「押し出し」というハイブリッドな構造になっています。
この「テープ巻きのマイカ層がある」という構造は、工事の際に「ケーブルを剥く(端末処理)のが一般のCVケーブルより少し面倒(硬い・破れやすい)」という実務上の特徴にもつながっています。もし施工時の扱いやすさや注意点について気になるところがあれば、詳しくお話しできますが、いかがでしょうか?

導体が凸凹しているからどうしても空気の層ができそうだけど、そこからコロナ放電を起こさないのか

おっしゃる通り、非常に鋭い着眼点です。ヨリ線導体の凹凸に沿ってテープを巻くだけでは、どうしても導体とマイカテープの間に微小な隙間(空気の層)が生じてしまいます。
結論から言うと、高圧(6600V級)のFPTケーブルでは、この空気の層で局所的なコロナ放電(部分放電)が発生するリスクが実際にあります。
しかし、FPTケーブルでは、この放電による劣化を防ぎ、実用上問題のない寿命(30年程度)を維持するために、以下のような非常に高度な材料技術と設計対策が施されています。
1. マイカ(雲母)の圧倒的な「耐コロナ性」
最大の対策は、隙間のすぐ外側にあるマイカ(雲母)という素材そのものの特性にあります。
- プラスチック(架橋ポリエチレンなど)は、コロナ放電が発生すると、放電の熱やオゾンによって数年〜十数年で消しゴムのようにボロボロに破壊(有機物分解)されてしまいます。
- 一方、マイカは無機質の鉱物であるため、電気的・化学的に極めて安定しています。万が一隙間でコロナ放電が発生し、その火花や熱に晒され続けたとしても、マイカはほとんど劣化(侵食)しません。
つまり、一般的なCVケーブルのように「半導電層で隙間を無くして放電をゼロにする」のではなく、「多少放電が起きても、絶対に破壊されない最強の材料(マイカ)をそこに置く」という力技の対策をとっています。
2. 空気の層を極限まで減らす製造技術
もちろん、放電は少ないに越したことはありません。そのため、メーカー各社はテープの巻き方に工夫を凝らしています。
- 導体の凹凸に対して、マイカテープを非常に強い張力(テンション)をかけながら精密に密着させて巻き付けます。
- さらに、マイカテープ自体の裏面にクッション性のある高耐熱の補強材を貼り付けるなどして、導体の隙間に可能な限り追従させ、空気の層の「厚み(ボリューム)」を極限まで小さくしています(隙間が小さければ小さいほど、放電に必要なエネルギーが溜まりにくくなります)。
3. 外側への波及を防ぐ十分な厚み
もしマイカ層のすぐ近くで微弱な放電が起きていたとしても、その外側には厚みのある絶縁体(架橋ポリエチレン)が控えています。
内側の放電エネルギーはマイカ層で完全にブロックされ、外側の主絶縁体まで到達(波及)することはありません。そのため、ケーブル全体が破断するような「絶縁破壊」には至らない設計になっています。
まとめ
「隙間の空気層でコロナ放電が起きるのではないか」という疑問はまさにその通りで、電気工学的には非常にグレーな構造です。
しかし、FPTケーブルは「マイカはコロナ放電に対して無敵に近い(耐コロナ性が極めて高い)」という鉱物特有の物理特性を利用することで、内部半導電層を無くすというデメリットを完全にカバーし、防災用ケーブルとしての信頼性を成立させています。
この「微弱なコロナ放電(部分放電)が起きている可能性がある」という特性は、電気主任技術者などが現場で行う「直流漏れ電流試験」の測定値(キック現象や電流値の出方)にも一般のCVケーブルとは違う影響を与えます。もし保守・点検時の挙動や注意点について気になれば、詳しく解説いたします。

マイカの耐熱温度は何度?

マイカ(雲母)の耐熱温度は、種類によって異なりますが概ね 600℃〜1,000℃ です。 [1, 2]
工業的に使われるマイカは主に以下の2つの種類(鉱物名)に分けられ、それぞれ耐熱性能に違いがあります。 [3]
1. 硬質マイカ(白雲母 / マスコバイト)
- 耐熱温度: 約600℃〜800℃
- 特徴: 電気絶縁性に非常に優れています。高圧の絶縁性能を求められる場所や、一般的な電気機器によく使われます。 [1, 2]
2. 軟質マイカ(金雲母 / フロゴパイト)
- 耐熱温度: 約900℃〜1,000℃
- 特徴: 熱による質量減少が少なく、圧倒的な耐熱性を持っています。FPTケーブルなどの「耐火電線」の耐火層(マイカテープ)には、この熱にさらに強い軟質マイカ(金雲母)が広く採用されています。 [1, 2, 4]
テープ製品(マイカテープ)としての耐熱温度
FPTケーブルに使われるような「マイカテープ」の状態になると、結合材(接着用のシリコン樹脂など)が使われているため、メーカーの仕様書には常用温度として「200℃〜250℃」と記載されることがあります。 [5]
しかし、これはあくまで「通常時に品質を落とさず使い続けられる温度」です。
火災時には外側の樹脂部分が燃えて無くなっても、残ったマイカ(雲母)の骨格自体が1,000℃近くまで融解せずに電気を絶縁し続けるため、消防用ケーブルとして機能を発揮することができます。 [2, 4]
マイカが1,000℃近くまで耐えられるからこそ、火災時の激しい熱にも耐えられる設計になっています。このマイカの耐熱性に関して、さらに詳しく知りたいポイント(他の絶縁素材との違いなど)はありますか?
[1] https://www.kk-tozai.co.jp

1000°Cを超えると発火する?溶ける?昇華する?

1000℃を超えた場合、マイカ(雲母)は発火も昇華もしません。さらに温度が上がると、最終的には「溶ける(融解する)」ことになります。 [1, 2]
ただし、1000℃を超えてすぐにドロドロに溶けるわけではなく、融点に達するまでの間に以下のような段階的な変化(熱分解と結晶構造の崩壊)を起こします。
1. 【1000℃〜】構造内の水分が抜けて「もろく」なる(脱水・焼成)
マイカは成分の中に「結晶水(OH基)」を含んでいます。1000℃を超えると、この結晶水が完全に外へ放出されます(脱水現象)。 [3, 4, 5]
- 見た目の変化: カサカサに乾いて白く濁り、結晶の層の間に隙間ができて膨張します。
- 性質の変化: 柔軟性が失われ、手で触るとボロボロと崩れるほど機械的強度が低下します。ただし、この状態でもまだ「電気を通さない性質(絶縁性)」は維持されています。 [6]
2. 【1200℃〜1300℃超】ついに「溶ける」(融解)
さらに加熱し続け、およそ1,250℃〜1,300℃以上(種類によって異なります)に達すると、鉱物としての融点(固体が液体になる温度)を迎えます。
この温度になると、結晶構造が完全に崩壊し、ガラスのようにドロドロに溶けた状態(融解)になります。 [2, 4]
なぜ「発火」や「昇華」ではないのか?
- 発火しない理由: マイカは100%無機質の「石(ケイ酸塩鉱物)」の一種です。炭素を含まないため、酸素と結びついて燃える(炎を出して酸化する)ということは絶対にありません。 [1, 7, 8]
- 昇華しない理由: ドライアイスのように「固体から一気に気体になる(昇華)」性質はありません。液体を経てからさらに超高温(数千度)にならないと気体(蒸発)にはなりません。
FPTケーブルにおける意味
火災時の消防規則(JIS A 1304など)で想定される標準的な火災温度は、もっとも激しいときでも30分間で840℃、あるいは2時間で1000℃強程度です。
つまり、FPTケーブルに使われる金雲母(軟質マイカ)は、「火災の最高温度になっても、ギリギリ溶けずに(1番の脱水状態で踏みとどまって)形を保ち、電気を絶縁し続けられる」という絶妙な融点マージンを持っています。 [9, 10]
マイカが1000℃を超えたときの挙動(溶けるプロセス)について、さらに気になる点や、他の耐火素材との違いなどはありますか?
[1] https://www.isomaterial.com
[3] https://www.osakamica.co.jp
[4] https://yamaguchi-mica.com
[8] https://ja.wesharemotor.com
[10] https://aximmica.com

FPTケーブルのバリア層とは

FPTケーブル(高圧耐火ケーブル)における「バリア層(耐火バリア層)」とは、ここまでお話ししてきた「マイカテープ(雲母テープ)を巻き付けた層」そのもののことを指します。
メーカーのカタログや技術資料、特許情報などでは、この部分を「耐火層」のほかに「耐火バリア層」や単に「バリア層」と呼ぶことがあります。
バリア層と呼ばれる理由とその役割
火災の際、外側からの激しい「熱」や「炎」が導体(銅線)にまで到達するのを物理的に遮断(ブロック)する障壁(バリア)として機能するため、この名が付いています。
具体的には、火災時に以下のような「バリア(保護)」の役割を果たします。
- 熱のバリア(遮熱):
火災による1,000℃近い高熱を遮り、中の導体が熱で急激に変形したり断線したりするのを防ぎます。 - 炎のバリア(遮炎・絶縁維持):
外側のシース(外皮)や架橋ポリエチレン(絶縁体)が激しい炎で完全に焼け落ちてしまっても、このバリア層(マイカ)だけは燃えず、溶けずに形状を維持します。これにより、3端子の導体同士が接触してショート(短絡)するのを物理的に防ぎます。 - ガスのバリア(炭化導電路の遮断):
周囲のプラスチックが燃えたときに発生するスス(炭素成分)が導体に付着して電気が漏れる(トラッキング現象)のを防ぐ障壁になります。
構造図での位置
一般的な高圧耐火ケーブル(NH-FPTなど)の構造図では、次のように表記されています。
導体(銅線)➔バリア層(耐火マイカテープ巻き)➔主絶縁体(架橋ポリエチレン)➔外部半導電層➔遮蔽層➔シース(外皮)
つまり、FPTケーブルの最大の特徴である「内部半導電層を無くしてまで配置した、超耐熱のマイカ層」の機能面に注目した呼び方が、この「バリア層」です。
バリア層(マイカ層)について、具体的なメーカー(フジクラや住友電工など)のカタログ記載の名称や、低圧用の耐火ケーブル(840℃・30分仕様)とのバリア層の違いなど、さらに詳しく知りたい情報はありますか?

フジクラのFPTケーブルは遮蔽層の外側にさらにバリア層があるようだ


大変失礼いたしました。ご提示いただいたフジクラ・ダイヤケーブルの「6600V NH-FPT」の正式なカタログ図面を確認したところ、私の先ほどの説明に誤りがありました。
おっしゃる通り、この製品における「バリア層」は、導体のすぐ外側ではなく、「しゃへい層(軟銅テープ)」と「シース(外皮)」の間に配置されている層のことです。
カタログの構造図に記載されている正式な層の順番は以下の通りです。
- 導体(軟銅)
- 耐火層(ガラスマイカテープ) ←ここがマイカです
- 絶縁体(架橋ポリエチレン)
- 外部半導電層
- しゃへい層(軟銅テープ)
- バリア層(難燃テープ又は押え巻きテープ) ←ご指摘の通り、ここにあります
- シース(耐燃性ポリエチレン)
この「バリア層」の本来の目的
この位置にあるバリア層(難燃テープ又は押え巻きテープ)は、導体を守るためではなく、「外側のシース(プラスチック)が燃えた際の、内側への熱や炎の侵入を遅らせる(バリアする)」、あるいは「燃焼時に内部の材料を物理的に押さえ込んでケーブルの形状を保つ」ために設けられています。
先ほどは、耐火の役割を果たす「耐火層(マイカ)」と、カタログ上の固有名詞である「バリア層」を混同して、間違った位置で説明してしまいました。ご指摘いただき、重ねてお詫び申し上げます。正しい構造を教えていただきありがとうございました。
このフジクラのカタログ図面を見ると、他にも「ノンハロゲン(NH)」ならではの材料構成になっています。この外側にあるバリア層(難燃テープなど)の素材や役割について、さらに深掘りして確認したい点などはございますか?

バリア層の材料は何だと思う?

ご提示いただいたフジクラ・ダイヤケーブルのカタログ(6600V NH-FPT)に書かれている「難燃テープ又は押え巻きテープ」という記載、およびこのケーブルが「高難燃ノンハロゲン耐火ケーブル(NH-FPT)」であるという点から、バリア層に使われている具体的な材料は「水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの無機難燃剤を配合した、ノンハロゲン系の難燃樹脂基材(ポリエステルやポリオレフィンなど)のテープ」であると推測されます。
メーカーがこの位置に用いる難燃テープには、主に以下のような材料やアプローチが使われています。
1. ノンハロゲン(NH)仕様の難燃性樹脂テープ
このケーブルは環境配慮型(NH)で「ハロゲン系添加剤を使用していない」と明記されているため、塩素や臭素といった一般的な難燃剤は使えません。
そのため、ポリエステル(PET)フィルムやポリオレフィン系の不織布などをベース(基材)にし、そこに火に触れると水分を放出して消火を助ける「水酸化アルミニウム」や「水酸化マグネシウム」などの無機コンパウンドをコーティング・充填したテープが使われている可能性が極めて高いです。
2. ガラス繊維(ガラスクロス)補強難燃テープ
「難燃テープ」として、薄いガラス繊維の織物(ガラスクロス)に難燃性のノンハロゲン樹脂を含浸させたテープが使われることも多いです。ガラスは火災の熱でも燃えないため、外側のシースが焼けても、内側の遮蔽層(銅テープ)を包み込んでバラバラに分解するのを防ぐ「押え巻き」の役割を強力に果たせます。
3. 熱膨張性(インターメッセント)テープ
火災の熱を検知すると、テープ自体が数倍〜数十倍にぷくっと膨らんで断熱効果のある分厚い炭化層(チャー)を形成する特殊な難燃テープもあります。これにより、外からの熱が遮蔽層や主絶縁体に伝わるのを物理的にバリアします。
カタログの表記(難燃テープ又は押え巻きテープ)から言えること
カタログにわざわざ「又は押え巻きテープ」と書かれているのは、メーカーの製造ロットやサイズ、あるいは設計の見直しによって、以下のどちらかの選択肢をとっているためと考えられます。
- 難燃性を最優先する場合: 上記のような高価な無機難燃剤付きの「難燃テープ」を巻く。
- 物理的な保護(ホールド力)を優先する場合: 燃えにくいポリエステル系などの「押え巻きテープ」を強く巻き付け、火災時に中の銅テープや絶縁体が熱で膨張して破裂したり、ズレたりするのを物理的に「ギプス」のように固定する。
いずれにせよ、燃えたときに有害ガス(塩化水素など)を出さず、JISの厳しい垂直トレイ燃焼試験をクリアするために、熱に強く、煙が出にくく、有害物質を含まない特殊な合成繊維・樹脂テープが選定されています。
この遮蔽層の外側にあるバリア層(難燃テープ)は、火災時に「シース(外皮)の炎が内側に燃え広がるのを食い止める」という非常に重要な防波堤になっています。この難燃メカニズムや、ノンハロゲン(NH)電線ならではの性質について、さらに詳しく知りたい部分はありますか?

燃えなくても熱が伝わって架橋ポリエチレン(耐熱温度100度程度だよね?)が先にボロボロになりそう。そして絶縁破壊をおこしそう

その疑問はまさに核心を突いています。ご指摘の通り、架橋ポリエチレン(XLPE)の連続最高許容温度は90℃(短時間でも105℃程度)ですので、火災時の高熱(840℃〜1000℃)が伝われば、絶縁体はボロボロどころか完全にドロドロに溶けて焼け落ちて(消失して)しまいます。 [1, 2]
しかし、それでも絶縁破壊(ショート)を起こさないのが、FPTケーブル(耐火ケーブル)の最も驚くべき仕組みです。
その理由は、外側から熱が伝わって主絶縁体が崩壊した後に、内側で起こる「最終防衛線」のメカニズムにあります。
火災時にケーブル内部で起きること(時系列)
火災が発生し、熱がバリア層(難燃テープ)を抜けて内部に伝わると、次のようなステップで構造が変化します。
- 【シースと主絶縁体の消失】
外側のシースや架橋ポリエチレン(主絶縁体)は、熱によってドロドロになり、最終的には炭化するか燃え尽きて無くなります。一般的なケーブルなら、この時点で導体(銅線)同士が直接接触して大爆発(短絡・絶縁破壊)を起こします。 [3] - 【マイカテープが「唯一の絶縁体」に変身】
プラスチックが全て消え去った後、導体の周りには導体に直接巻き付けられていた「マイカテープ(耐火層)」だけが残ります。
マイカは前述の通り1,000℃を超えても溶けないため、プラスチックが全て無くなっても、導体の表面に「カサブタ」や「ギプス」のように張り付いたまま形を維持します。 [3, 4, 5] - 【空気とマイカによる『空間絶縁』の成立】
3心のトリプレックスケーブル(あるいは3本の単心電線)が互いに押しつぶされそうになっても、導体の表面に残ったマイカ層が物理的なスペーサーとなり、銅線と銅線が直接触れ合うのを完全にブロックします。
結果として、主絶縁体(架橋ポリエチレン)がゼロになっても、「マイカ層 + 周囲の空気」だけで6,600Vの電圧に耐えうる絶縁性能をギリギリ維持し続けることができます。
つまり、架橋ポリエチレンは「平時用」
FPTケーブルの設計思想において、架橋ポリエチレンは「平常時に6,600Vを安全に流すためのもの」であり、火災時には「最初から焼け落ちる(犠牲になる)前提」で配置されています。
- 平常時(マニアックな視点):
導体 ➔ 空気の隙間(コロナ放電のリスクあり) ➔ マイカ層(高抵抗) ➔ 架橋ポリエチレン(メインの絶縁を担う) - 火災時(耐火動作中):
導体 ➔ マイカ層のみ(最後の砦として導体間の接触を防ぎ、空気と一緒に絶縁を維持する)
「熱が伝わって架橋ポリエチレンが先にダメになる」というのは大正解です。しかし、FPTケーブルは「主絶縁体がボロボロに溶けて無くなっても、マイカさえ残れば30分間はショートせずに電気を流し続けられる」という、極限状態を想定した執念のような設計になっているため、絶縁破壊を起こさずに消火設備へ電力を送り続けることができます。 [4, 6]
主絶縁体が溶けても電気が流れるという、この耐火電線特有の逆転の発想について、さらに気になった点や、「じゃあ火災が終わった後のケーブルはどうなるの?」といった運用面での疑問などがあれば、何でもお尋ねください。
[1] https://www.fujikura-dia.co.jp
[2] https://www.sciencedirect.com

CVTケーブルと比べて静電容量はどうなる?

同等サイズ(スケア数)の一般的な高圧CVTケーブルと比較した場合、FPTケーブル(高圧耐火ケーブル)の静電容量は「ほぼ同等か、製品やサイズによってはごくわずかに大きくなる傾向」があります。
劇的な違いはありませんが、静電容量が決定される仕組み(物理・電気的要因)を見ると、FPTケーブルの構造的な特徴がそのまま数値の増減に影響していることが分かります。
理由を3つのポイントに分けて解説します。
1. マイカ(雲母)の比誘電率が高い(増加要因)
静電容量は、導体と遮蔽層の間にある絶縁物の「比誘電率」に比例します。
- CVTケーブルの絶縁体(架橋ポリエチレン): 比誘電率 約2.3
- FPTケーブルの耐火層(マイカ / 雲母): 比誘電率 約5.0〜8.0(架橋ポリエチレンの2〜3倍以上高いため、電気を蓄えやすい) [1]
導体のすぐ外側に比誘電率の高いマイカが巻かれているため、この点だけで言えば静電容量を大きくする(増やす)要因になります。
2. 絶縁体層が厚い(減少要因)
静電容量は、導体と外側の遮蔽層(アース面)との「距離(厚み)」に反比例します。距離が離れるほど、静電容量は小さくなります。
前述の通り、FPTケーブルは内部半導電層がないことによる電界集中をカバーするため、主絶縁体(架橋ポリエチレン)の厚みに余裕(マージン)を持たせた設計をしています。
この「絶縁層の厚みがわずかに増す」という特徴は、静電容量を小さくする(減らす)要因になります。
3. 【結果】2つの要因が相殺しあう
「マイカのせいで静電容量が上がりやすい」という性質を、「絶縁層を厚くして距離を離す」という設計が打ち消し合う形になります。
結果として、メーカーが製品として仕上げた段階では、一般的なCVTケーブルの静電容量(約0.2〜0.5 μF/km程度 ※サイズによる)と大きくは変わらない、実用上同等の数値に落ち着きます。
実務(試験や運用)における注意点
電気特性としてはCVTケーブルとほぼ同等ですが、現場での「高圧絶縁耐力試験」の際にはFPTケーブル特有の注意点があります。
高圧ケーブルの交流耐圧試験では、ケーブルの持つ静電容量のせいで大きな試験電流が流れてしまいます。FPTケーブルは、内部半導電層の代わりにマイカを巻いている影響で、微小な空気層(ボイド)や内部電界の偏りがあり、充電電流(漏れ電流)の挙動が通常のCVTケーブルよりもデリケート(不安定に変動しやすい)です。 [2]
そのため、静電容量の「値」そのものはCVTと大差がなくても、耐圧試験や直流漏れ電流試験の際には、判定基準や数値の「揺れ」に対してCVTより慎重に推移を見守る必要があります。
[2] https://note.com







